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  • 執筆者の写真はしもとあや

はじめてのグループ展振り返り〜第4回文房堂アワード〜

2022/4/7〜4/19、東京神田神保町の老舗文具店・文房堂(ぶんぽうどう)さんと、国内外の作家100人を掲載するアートブック出版社・artbook事務局さんがコラボレーションされたイベント、『第4回文房堂アワード』に参加しました。





「文房堂さんで販売しているオリジナルスケッチブックの表紙をデザインする」というテーマのもと制作し、文房堂さんのギャラリー&Webのバーチャルギャラリーにて、100人を超える作家の皆様と共に展示いただきました。


個人として展示に出るのは今回が2回目。

しかし、ルールやスケジュールに沿って制作し、デジタルで描いた絵を印刷し、額縁に入れ、会場にお送りし展示いただくというのは、今回が初めてでした。お誘いをいただいたとき、こうした展示は初めてだからまずはやってみよう!というスタンスで出展を決めまして、では実際どんなことを学び得たのかを、時系列で振り返りたいと思います。


アワード申し込み〜制作

・ルールやスケジュールを守る

アワード申し込み、参加費振込、作品提出、提出時の注意点(指定日時に到着するよう発送、エントリーNoの記載場所etc.)、これらをスケジュール通りに行う…


円滑な準備・展示のために、気をつけ、守ることはいろいろとあります。


普段ご依頼いただいてお仕事することが多いのでオリジナル作品制作の優先順位を下げがちな私です。しかし今回はチャレンジとしてそこの優先順位を引き上げ、ご依頼のお仕事と並行しながらスケジュールを組み、準備を進めました。


・スケッチブックの表紙になる前提で制作する

「描けた!スケッチブックの表紙になったらいいな」ではなく、「スケッチブックの表紙を作る」というスタンスで描きました。

文房堂さんのサイトでオリジナルスケッチブックについて調べたり、スケッチブックってそもそもなぜ使うのかを書き出してみたり、これまでのアワードの展示作品を眺めたり。

調査して、アウトプットを決めていきました。


・額装する

額装(がくそう)は、絵などの作品を額縁に入れること。イラストレーターとなって初めて自分の絵を額装しました。

はじめは家にある額縁を使おうと考え、これにサイズで作り始めました。

展示する絵のサイズに自由度があるので、手元にあるものに合わせようと考えられたのは良かったのですが、いざ絵が仕上がり額縁に入れ、誰かに見てもらう様子を想像した時に、額縁の傷や汚れが気になってきました。

迷いましたが、発送まで1日ほど時間があったので新しい額縁を探し無事調達。

より合うものを探しに行く時間まで取れなかったので、次回の額装展示では事前に調べ選ぼうと思います。


あとはマット台紙(額縁の中の紙の枠)を入れるか入れないかで印象が変わってくることも知りました。額縁ジャストサイズで印刷していましたが、最終的にマット台紙を入れても隠れないサイズに調整。


(写真は家にあった額縁、マット台紙無しの状態)



いざ!展示会期本番

・ギャラリースタッフ楽しい

artbook事務局様からシフト制でギャラリースタッフの募集があり、手を上げて初日に行ってきました。

ちょっと緊張しましたがはじめだけ。

「投票受け付けてますので書いてお入れくださいね」「ごゆっくりご覧くださいね」「19日までなのでまたゆっくりお越しくださいね」などのお声がけ、コミュニケーションがめっちゃ楽しかったです。

自分の作品を見ていただくなんて恥ずかしい、なんて話しかけていいか分からない…となるかと思いきや、です。

普段コミュニティスペースmachiminでやっていることがしっかり生きていて、ほこほこした時間でした。


・作品タイトルの付け方

これはいざ展示が始まり、自分が実際会場に行って見て気づいたこと。


普段ご依頼いただいて描くことが多いので、自分が描いた絵にタイトルをつけたことがほとんどありません。

また、ストーリーやコンセプトをよく考えてからアウトプットするよう自分なりに気をつけているので、絵と共にコンセプトもご案内することが、全体として説得力を引き上げていると感じています。


今回はパンフレットに掲載いただく詳細説明と共に絵を見ていただくことを想定し、作品タイトルはシンプルに、詳細ストーリーはパンフレットに載せていただきました。


しかし、パンフレットを読みながら絵を見るという方をほとんど見かけませんでした。私の場合、結果として半分しかお伝えできない形にしてしまったなと反省です。


展示は、見た目や会場の雰囲気など、見る方が一発で捉えられる範囲の情報からその絵の世界に入る、という動線なのだなと。そのため、視界や明るさや温度など、五感に飛び込む情報をイメージしすることが必要であると学びました。

「この絵いいな」と、見て思っていただくことが必要だと感じました。このあたりは抜けていたので、技術面での上達の必要性もひしひし感じます。また多少長くても分かりやすい、んん?と引っかかるインパクトのあるタイトルにすることも手かもしれないなと思います。


なお私の絵は、タイトルが「まっしぐら」、なぜこの絵にしたか?は、こちらから。



・名刺は多めに準備

展示ギャラリーには、作品のほかに名刺を置いていただきました。

作品提出時に15枚送りましたが、返送時に空っぽでしたので、つまりはご来場者さんにお取りいただいて無くなったということだと思います。

自分もですが、作品があって、その上名刺が置いてあるとなると、あ、こちらも、あちらも、わあ素敵、いいな〜と、ほしくなってしまうんですよね笑 名刺は営業ツールであると同時に、持ち帰れるおみやげにもなり、いただいたお名刺のデザインを見つめることは自分のアウトプットの種にもなる。


名刺は自分のお財布からお金を出して作るもの。展示という馴染みがあまり無い分野だからこそ、知っていただく第一歩として、しっかり刷ってもう少し枚数を置いておこうと思いました。


会期終了!全体的な振り返り

第4回文房堂アワードは、オリジナルスケッチブックの表紙にしたい作品を一般投票にて決定、また、協賛企業様の投票により協賛企業賞が決定されました。


・アワードの結果

文房堂さんのHPに掲載いただいております。受賞された皆様おめでとうございます!


私は入賞ならずでした。リアルやバーチャルでお越しくださった方、私の作品に投票くださった方、そして日頃からたくさんの方が応援くださっていると感じるので、良いご報告をしたかったです。


・選んでいただくということ

投票しようとなったとき、自分のアンテナが触れた作品の中から選ぶことになります。

100以上の作品は圧巻で見ていて楽しいものですが、同時に体力や精神力を使うもの。


ここでも、一瞬の印象は大事だなと感じました。

その時期の流行りや季節、見る方がシンクロしやすいモチーフ、色、全体の雰囲気を整えることは大事だなと感じました。展示会場の立地、地域性、お客さんの層なんかも関係しそうです。


…む、む、難しいですね…。

自分の得意分野かどうかも関係しそうなので、これができたら選んでいただけるとかではなさそうですが、少なくとも見た目も大事ということなんだなと思います。

絵が、描く方と見る方をつなぐ入り口だからこそ、描く側が見せ方を意識するといいのかもしれないと感じます。


・イラストレーターさん、みんなすごい

アワードなので、自分以外の皆さんがいわばライバルです。

アワード以前に個人でお仕事をしていると、日々ライバルだらけに感じます。

私は4年前に副業イラストレーターとしてスタートしたのですが、それまで趣味で描いてきて絵を仕事にすることへのイメージが湧くか湧かないか…という状況でした。


それでもその時の自分には、専業イラストレーターとして仕事をしていく道しかない、そこに行きたいと思っていたので、すでに活動されているイラストレーターさんの作品や発信を目にして尊敬の念を抱きつつ、ガルル…と唸っているような気分でして。

展示会場では出展者さんやartbook事務局の佐川さん、文房堂のご担当者の方とお話する機会に恵まれました。

作品の解説やその方のアイディアのお話、私も作品解説をしてコメントをいただいて、他の方の絵も近くでじっくり見て私では考えもつかない・できない表現がたくさん、1つのテーマで100人100通り以上の作品が並んでいて、それらは描いた方の積み重ねでもあるんだなと感じたり…


リスペクトが溢れて止まりません!笑 私だから考えつく表現があること、私もここまで積み重ねてきたことを知れました。


アワードだから順位があるけれど、それとは別のスコープが存在する。誰かに勝とうと孤軍奮闘ばかりしなくてもいいんだなーと思えた機会でした。




・世の中いろいろな展示がある、出るかどうかの判断

主催のartbook事務局さんはアートブックを出版されていますが、作家さんを1冊にぎゅっと載せるのではなく、ジャンルごとに発刊を分けておられます。

これはお仕事の依頼先を探す方が作家さんを見つけやくなるように、作家さんも見つけてもらいやすいように、という意図があります。


作家さんへ掲載・展示オファーを出される際も、SNSやHPを1人ずつご覧くださり、今まさに稼働しているか(お仕事を求めていそうだな、などを見ておられる)見た上でオファーくださいます。かなりの数の作家さんがいらっしゃるはずですが、1人1人を見るという一番大変な部分を割愛していません。とてもありがたく感じました。


展示の機会はいろいろありますが、時間も予算も限りがあります。

オファーくださる方やギャラリーさんのお考えは、私にとって大事だなと感じました。





終わりに

長くなってしまいましたが、振り返りのご報告でした。

改めて、文房堂さん、artbook事務局さん、応援くださった皆様、ありがとうございました!

たくさんの実りを得られた機会で、出ようと決めてよかったです。グループ展は出たことがないけど興味がある、という方のご参考にもなればと思います!

ちょうど4年前に育休から職場復帰し、「合間の時間でイラストを描き続けられるように」と夫が募ってくれたフレンドファンディングでiPadProを購入し、ホームの椅子に座って電車待ちの時間にイラストを描いていた私にも、大丈夫よ〜と言ってあげたいです。



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